愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
そして、先日驚くべき事件がふたつあった。

夕方、先に帰宅した俺が洗濯ものを取り込むと、ステンレスの長方形ハンガーに見たことのない下着がかかっていた。
ベビーピンクのフリルのついた下着の上下セット。

誤解しないでほしいが、俺は毎度妻の下着をガン見しているわけじゃない。
家族なのだから、洗濯ものを取り込むときに目につくことはある。

ともかく、雫の下着は比較的シンプルでスポーティーなものが多かった。下着メーカーに勤めていると、ヒラヒラ可愛い下着は食傷気味になるのかな、なんて勝手に思っていたのだ。その雫が可愛らしい女子力の高そうな下着を洗濯しているじゃないか。

その下着は誰のためのものか。
俺のためでないことは確かだ。何しろ、俺たちは結婚以来、まったくそういう空気になれておらず、結局ただの一度も触れ合っていない。

つまりは、他にその下着を見せたい相手がいるのだ……。
これは絶望的な事実だった。

そして、もうひとつの出来事は雫のパソコンにあった。
雫が休みの日、やはりどうしているか不安感があり早めに帰宅すると、彼女はソファで寝ていた。
なんだ、どこかに出かけていたわけじゃない、とほっとしつつ彼女を起こした。すると寝ぼけた彼女がパソコンに触れ、眠りに落ちる直前まで見ていたネットのページがディスプレイに表示されたのだ。

豊胸。

画面には美容整形のクリニックの名称と豊胸のプラン説明が出ていた。
広告を間違えてクリックしましたという感じではない。きちんと検索して、施術と料金プランまでチェックしていたといった雰囲気だった。
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