愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~



お見合いに行くにあたり、私は髪を切りに行く以外何もしなかった。多少見栄えを良くと思ったからセミロングの毛先を整え、春らしく軽くしてもらったくらい。
エステもネイルサロンも行かなかった。行ったことないんだもん。怖いじゃない。
それに、最初に話を持ってこられてから、お見合いまでが2週間しかなく、足掻く時間も足りなかった。

成人式でも借りた従姉の振袖を7年ぶりにまとい、都内のホテルに集まったのは日曜のお昼時。
お座敷に入るとすでにあちらさんはいらしてた。
ご両親が手前、奥にいるメガネさんが私のお見合い相手ね。
母があちらのお母さんと手を振って早くもキャッキャとはしゃいでいる。本人たちは楽しいんだろうなぁ。

私は慣れない着物でつまづかないよう歩きながら、案内されるまま彼の前に座った。
場が整った。

「榊高晴といいます」
「市川雫です」

私たちは名乗り合って会釈をした。その後はお食事の懐石が運ばれてきてお食事。
私はちらちらとお相手の高晴さんとやらを盗み見た。

うん、やっぱり顔は整っている。
高い鼻梁、切れ長の二重の瞳、銀縁のメガネがよく似合っている。
薄い唇も、顎から喉仏のラインも品良く、良家のお坊ちゃんって感じ。

一方で座っていても背が高いのがわかる。割と身体つきもしっかりしてるし、ジムのプールで泳いでそうな肩幅だ。話で聞いていたより草食男子感はない。
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