愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
昼食は社食でも摂れるが、込み入った話になりそうなので社外に出た。

日向が食べたいというので、できたばかりのイタリアンに向かう。JRの駅から離れ、大井町線の改札近くの路地にイタリアンはあった。こじんまりした店で、外装はバーみたいだ。女性は好きそうだな。

日向の希望と男性もOKということでそろってレディスセットを頼んだ。
レディスセットはアンティパストにミニサラダ、メインのパスタ、ドルチェとコーヒーがつくもので、割とボリューミーなものだった。
レディスとつけば、女性はこのくらいぺろりと平らげるのだろう。
これがメンズセットという名なら、パスタを食べる前に「もうお腹いっぱい」という女性は多くいるはすだ。中身が同じでも。女性とはそういうものだ。

皮肉は置いておいて、本題だ。

俺は日向にすべて話すことにしていた。
結婚前、台本を添削してもらったこともある。軽そうに見えるが、彼女が信頼できる同僚であることは何年も一緒に仕事しているのだからわかっている。

俺は覚悟を決めて、現在の悩みを口にした。

妻がこそこそと隠し事をしているようだということ。
休日は男とあっているのかもしれないこと。彼女に浮気をやめてほしいとは言えないこと。
そもそもまだ何もできていないこと。

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