愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~







もう駄目だ。雫に嫌われた。

俺は鬱々と土日を過ごした。
金曜の深夜、喧嘩らしき状況になり、雫は先に眠ってしまった。俺も横のベッドで休んだけれど、翌朝、酒の影響で寝坊した俺の隣に雫はいなかった。携帯にメッセージが入っていた。

『今日は実家に顔を出します。今夜は泊まります。日曜の夜に帰ります』

それを読んで、俺は再び枕に突っ伏した。
事態は最悪の状況へ。嫁が実家に帰った。

これは迎えにいくべきだろうか。夫たるものそうすべきであるとなんとなく思う。
でも、彼女は日曜に晩には帰ると言っているのだ。普通に実家の用事で帰っているところ、血相変えた夫が迎えに来ては、こじれた話が家族を巻き込んでもっとこじれてしまう。

さらには実家に帰っていなかった場合───好きな男(推定)の元へ行っていたとしたら、雫の実家は完全に修羅場になってしまうだろう。それはまずい。

結局俺はひとり家で掃除をして過ごした。土日は基本仕事である彼女のため、この二ヶ月続けてきた休日の掃除。それしかやることが見つからなかった。
窓を拭き、カーテンを洗った。水回りを綺麗に磨き、鍋まで磨いた。

それでも空いた時間は散歩をして、自宅で筋トレをした。
雫と出会う前の休日は散歩と筋トレくらいしかやることがなかったな、とふと考える。それはそれで楽しかったし、気ままだったが今ではその頃のことがよく思い出せない。
たった二ヶ月でも俺には雫と過ごす毎日が日常になっていた。
たとえ休日がかぶらなくても、夜には共に夕食を食べ、隣り合って眠れるという安心感は大きな支えだった。

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