愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
日曜の夜遅く帰宅した雫は気難しい顔をしていた。俺にただいまと言ったきり、シャワーを浴びてさっさと寝てしまう。話しかける隙を与えないようになのか、すべて急ぎ足だった。

月曜の朝食、雫は起きてこなかった。遅番なのは知っていたので、用もないのに起こすのはやめ、俺はひとり朝食をとり出勤したのだった。

用はある。本当はある。
仲直りしたい。

だけど、特効薬が見つからない。
ここまでしてきた夫婦になる努力が彼女に通じなかった以上、俺には手立てが見つからない。彼女が愛想を尽かして出て行くのをじっと待つしかないのだろうか。それは嫌だ。

もう正直なんでもいい。雫がそばにいてくれるならなんでもいい。他に浮気相手がいたっていい。俺と結婚生活を続け、笑顔を見せてくれるなら……なんて志の低い情けなさ過ぎることも考えた。
でも、好きな女の傍にいられるなら、それも手じゃなかろうか。

というより、こんな形で結婚にこぎつけた俺が悪かったのだろうか。

月曜の昼時、俺はまたしても日向を食事に誘った。
事の顛末を聞いてもらおう。今回は酔った日向にべたべたくっつかれていたこともいらぬ誤解を生んだわけだから……と無理やりな理由を頭の中でつけておく。
場所は近所の定食屋にした。ケチっているわけじゃない。女性の多い店が、今は気詰まりなだけだ。

「はいはい、なるほどね~」

金曜の流れを説明すると、日向は訳知り顔で頷くのだ。恋愛マイスターにでもなったつもりだろうか。
いや、俺からすればマイスターだ!
お知恵を貸してくれ、日向マイスター!
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