愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
「日向、誤解を解くにはやはりきちんと俺の気持ちを伝えるべきだろうか」
「ま、それが一番なんだけど~。今言っても素直にとってもらえるか……。待って、唐揚げ定食食べながら考えるから」

俺たちの前にちょうど定食の角盆がふたつやってくる。日向が唐揚げ定食、俺がほっけ定食だ。
俺も今日はまず食事に専念することにした。金曜はパスタが冷めてしまってもったいなかったからな。
しばし、ふたりでカウンター席に並び、無言で食べる。

「榊、奥さんって連休あるの?」

食事も終盤という頃合いに、日向が言いだした。

「月に一回、平日に連休が入っているはずだが」
「今月はいつ?」
「カレンダーには今週の木金と書かれていたような」

俺たちはふたり分の予定を居間の大きなカレンダーに書きこんである。彼女はシフト制勤務で不定休だし、俺も治験などで遠方の病院への出張がある。

「榊、あんた今週の木金休みなさいよ」
「え?そんな突然に?」
「有休、三月中にとらないと消滅するのがあるって、午前中総務がうるさく電話してきてたじゃないの。知ってるわよ」

その通りだ。俺があまらせている有休について、総務からはしつこく言われている。特にうちの課は有休取得率が低く目をつけられているのだ。

「帳尻合わせに繁忙期に休まされるよりいいでしょ。はい、オフィスに戻ったら申請、申請」
「待ってくれ、いきなり休みを合わせてきたら、彼女に気味悪がられないか?」
「家にふたりでいることないでしょ。せっかくだからって、旅行にでも誘いなさいよ。近場の温泉とか。平日だし、どこか空いてるわよ」
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