愛され新婚ライフ～クールな彼は極あま旦那様～
原宿の店舗に帰り、締め作業を終えて帰宅した。
ひとりきりの家で見たくもないバラエティを見ているうちに高晴さんが帰宅して……どうしてあんなことを言っちゃったんだろう。私といるより楽しそうだなんて。

やりとりは短かったけど、彼が嫌な気分になったことは間違い無いと思う。お門違いにもほどがあるよね。

『きみこそ、……俺といても楽しくないんじゃないか？』

寂しい言葉を言わせてしまったのは私だ。
あれから私も避けてしまい、謝ることもできずにいたんだけど。

まさか旅行に誘われるなんて思わなかった。

了承したのは勢いじゃない。
高晴さんが『雫さんと行きたい』って言ってくれたから。
おこぼれに預かるみたいで情けないけど、この人はまだ私を家族として大事に思ってくれていると感じた。心がわずかに温かくなった。

だけど、結局私たちは決定的な仲直りの機会を逸し、気まずいまま旅路についてしまった。

私ひとりぐるぐるしてて、全然整理ついてなくて、たった今も隣に高晴さんがいるのが気詰まりでしょうがない。
明るく爽やかに会話すればいいのに。気の利いた言葉が出てこない。

私が高晴さんに感じていた『私といて楽しいの？』は写し鏡みたいに高晴さんの心にもあったものだ。
高晴さんも思っていた。『俺といて楽しいのか？』

お互いにそう思わせる関係でいたのはよくないこと。
私たち全然円満じゃなかったんだなぁ。
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