よくばりな恋 〜宝物〜
素敵な彼
世の中には完璧な人間っているんだーーーー。
期待に胸を膨らませた入社式、彼はいた。
180cmはあるだろう長身。
小さな顔には理知的で綺麗な瞳と、高い鼻と、引き結ばれていても少し笑んでいるように見える唇が整然と配置されている。
新入社員代表の挨拶で、壇上に上がった彼の姿は優しげで、それでいて凛とした佇まいで、多分会場中にいる女子が心を奪われた。
斯波 空斗ーーーーそれが彼の名前。
京都にある国立大学の薬学部の博士課程終了。
どこにも非の打ち所がない彼。
神戸にある女子大の国文科を卒業し、容姿も能力も十人並、一般事務で入社したわたしとは何の接点も無いはずだった。
なのにーーーーーー。
「紅」
甘く呼ばれる自分の名前。
隣に立つ素敵な彼。
わたしは
あなたに
釣り合っているーーーーーーーー?
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