言えなかったよ。言いたかったよ。



「しねーよ、俺、一途だし」

それはどっちの意味だろう。


あえて聞かないけれど、てっぺーがまた楽しそうにシーソーを蹴りはじめて、公園にギーコーギーコーという音が鳴る。



「帰ってくるよ。バイトもする予定だし、地球の裏側に行くわけじゃない」

「うん」

「そしたら、また一緒に遊ぼうぜ。アイス食ったり、お前の苦手な幽霊のDVD見たり」

「シーソーに乗ったり?」

「小学生たちに取られないようにしっかり守っとけよ」

「私たちさ、いつの間にかシーソーお姉さんとお兄さんって呼ばれてんの知ってる?」

「なに、その歌のお姉さんとお兄さんみたいな。カッケーな」

「いや、くそダサいでしょ」


てっぺーが無邪気に笑い、私もつられて笑う。



明日には、きみはいない。

私の気持ちなんて知らずに、てっぺーはいなくなるんだね。


本当は言ってしまおうと思ってた。

最後だから、明日のことなんて気にしなくてもいいし、気まずくなって顔を合わせられないこともない。


だから、てっぺーが好きだと言おうと思ってた。

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