君の姿、午後5時半【短編】
…そろそろ、かな。
そう思った、数秒後。
出入り口の自動ドアが開き、少しだけ崩している学生服を着用した茶色の髪の毛が印象的な男の子が店内に入って来た。
そしてその男の子は、私の立っているレジの前まで小走りで駆け寄って来るなり口を開く。
「おねえーさん、俺今日も来ちゃったー!」
にかっとした明るい笑みを浮かべると、さり気なく私の手を握る男の子。
「…いらっしゃいませ。ご注文がお決まりでしたら伺いますが」
「はい、お決まりです。ご注文はお姉さんで!」
「申し訳ありませんが、生憎私は商品では御座いませんので…」
そう、私が困ってる事というのはこれである。