舞蝶~絶望を知った女総長~ ※コメディあるZE☆

愛「オレは今からお前らの族、蝶華を潰す者だ!」

ニシシみたいな感じで笑ってみる。
ついでに胸も張っておけば、あら不思議。
くっっっっそウザい身の程知らずの出来上がり♡

?「お前ら! 戦闘体制を整えろ!」

「「「はいっ!!」」」

おぉー!
中々に統率が取れているジャマイカ!
よしじゃあ愛乃さん頑張っちゃうぞぉ〜!!

?「氷蝶は第一部隊、陽蝶は第二部隊、乱蝶は第三部隊、美蝶は第四、第五部隊を指示しろ! 俺は総指示を務める!」

?「「「「了解!」」」」

うんうん。
敵がどんな奴でも慢心しないその心、やっぱ私が見込んだだけあるわぁ。
んじゃあ動きますかね!

私は走り出す。

第一部隊と第二部隊が挟み撃ちするように私を囲う。
だがなぁ! それくらいじゃ私は倒せぬのだよ!

一気に足を踏み出し人の群れに突っ込む。
鳩尾に拳や蹴りを叩き込み、次々と戦闘不能の状況にする。
ごめんな皆★

それにしても私が来ない間にかなりの成長具合いだ。
これは私もしっかり鍛錬しないとな!

とか考えてる内に下っ端全滅。
あとは幹部だけだ。

?「くっ、皆やられたか! こいつは強ぇぞ! 気ぃつけろ!」
愛「うん、戦闘体制になってるところ申し訳ないんだけど種明かしね」

と言いフードとカツラを取る。

愛「やっほぉ皆〜。おっひさー!」
「「「「愛乃ぉぉおぉおぉおお?!?!?!」」」」


──────────────


?「全くいっつもいっつもいつもいつもいつもいつも貴女って人は度が過ぎてるんですよ! 聞いてますか、愛乃!」
愛「あい。さーせん……」
?「どうしてそんなにふざけた返事の仕方なんですか!!」
愛「すみませんでしたァァアアア!!!」

場所は変わって幹部室。
落ち着いた黒でまとめられたこの部屋で私は絶賛お叱りを受けてます。怖いです。
意図的に黒から変えられたライトブラウンの髪と目に眼鏡をかけたこのイケメンさんな彼の顔はただいま怒気を多量に含んでおります本当にごめんなさい。

?「はぁ……本当に分かっているのか……。愛乃、僕はいつも言っていますよね、周りの迷惑も少しは考えなさいと!」
愛「ウィッス……」
?「だからぁ! どうしてそんなにふざけた返事の仕方なんですかぁぁ!!!」
愛「ヒィィごめんなさいいいいいいいい!!!」

…………マジで怖いですパイセン……。

?「はいはい庵、ストップストップ〜。皆久々に会ったんだし、感動の再開と行こうや」
?「……翔也」

そこに現れた救世主。

彼は日暮翔也(ヒグレショウヤ)。氷蝶とも呼ばれている。
言わずもがな、蝶華の幹部です。
兄貴たちとはちょっと違う感じの青色の髪と目である。えっ兄貴共と何が違うかって? ……いや、なんか違うの。なんか。

まあついでに? 説明しておくと? 今怒ってるカルシウム不足気味のパイセンが神崎庵(カンザキイオリ)、知蝶と呼ばれている。
おいおいこの方が情報管理担当だからってちょい〜っと安直すぎやしませんかねぇ〜www

庵「愛乃? なんだか貴女が失礼な事を考えている気がしてなりません」
愛「エッ……カンガエスギデハ?」
庵「……そうですか」
愛「ホッ」

庵にじろりと睨まれたが気がつかない振りをした。アッブネ!

?「にしても随分とお久だねぇ、愛乃!」
愛「おうおうこれはこれは陽蝶さんではございやせんか」
?「えー……なんかその絡みちょっとウザいんですけどー」
愛「辛辣」

この辛辣な彼、栗色の髪に同じ色の目を持つこの人は神谷煌(ミタニコウ)、陽蝶である。
なんでも祖母に外国人を持つクォーターらしく、この髪と目は生まれつきなんだと。
私とお揃いなんだよな! 因みに私は外国人と血は繋がっていない。ただの突然変異らしい。マジ特異。

?「ねぇ愛乃、あたしはスルー?」
愛「あ、麗華。久々だねぇ」
?「本当よ。愛乃ったらなかなか会いに来ないんだから」
愛「めんごめんご。忙しくってね」

セレブ感漂う彼女は神谷麗華(ミタニレイカ)。煌の双子の姉である。
と言ってもそっくりと言うほど顔は似ていない。二卵生だからだろう。
でも少し釣り上がった栗色の目とくせっ毛の髪とかはそっくりだ。あと時々動作が被ったりするな。

愛「あれ、たっつーは?」
翔「いるよ、そこに」

もう一人いるはずなのに見当たらなかったので翔也に聞くと、翔也は部屋の隅を指差す。

愛「え? ……うおっ! いた! びっくりしたぁ……」

部屋の隅には体操座りをしてどんよりとした空間を作り上げる人物が一人いた。
彼は望月龍水(モチヅキタツミ)、乱蝶である。
ボサボサの黒髪で顔を隠しており、なんか暗い。
因みに髪は手ぐしでとけばサラッサラ艶やかになり、前髪をあげれば素晴らしくイケメンである。

愛「えっあれ大丈夫?」
翔「ああ、いつものだよ。戦闘モードの後のどんよりモード」
愛「ああ、納得」

彼は物凄く……なんていうか、濃い。
まず、戦闘モードとは、乱蝶という呼び名の由来でもある。
戦闘モードになると普段の無口からは程遠く、バーサーカーのようになる。
まじで狂ったように敵をなぶり続ける。やばいよマジで。
そしてどんよりモードとは、その戦闘モード終了後に発生するモードであり、今の状況のこと。
部屋の隅でうずくまりどんよりとする。
こういう時は大体皆無視してる。声をかけても返ってこないからだ。

愛「ところでもう一人は?」
翔「ああ、美愛? 今はコンビニ行ってる。なんでも新しいデザートが発売されたらしい」
愛「うん。相変わらずだな」

もう一人とは黒蝶と呼ばれる酒月美愛(サカヅキミア)の事。
ピンク色の髪に水色の目で、普段はお菓子大好きなほのぼのキャラだが、戦いになると一変、物凄く冷徹になる。
それが由来で黒蝶と呼ばれるようになった。

美「ただいま〜」
翔「おっ、帰ってきた」

丁度帰ってきたっぽい。

愛「おかりー」
美「ただまー……ってこの声とやり取りはっ!」
愛「そうだぜ、愛乃さんだぜッ(キリッ」
美「うわぁ〜っ! 久しぶりじゃん! 来るのが遅い! 美愛の怒りパンチっ!」
愛「ヴェッフッッ!!! いってぇ。今日も力強いっすね美愛さん」

出会い頭早々に腹パン食らった。
ほんとこの人たち私に対する扱い酷いよねほんと。
まあでもそれが愛情ゆえだってこと、私は分かってるからっ(キラッ

煌「なんだか愛乃が腹立つような」
美「あっそれ思った〜」
愛「ヒドスっ!」

ほんとなんなのこの子たち(泣)

美「あっとスイーツがあったまっちゃう!」

美愛は慌てたように手に持った袋をガサゴソとやり、中から商品を取り出す。
私がそれを見てると、美愛は咄嗟にこっちを見た。





美「あっ、あげないからね! これはボクのスイーツだ!」

愛「いらんよ。どうぞ私に構わずお召し上がりになってください」



そう、美愛は、ボクっ娘である。


< 19 / 32 >

この作品をシェア

pagetop