舞蝶~絶望を知った女総長~ ※コメディあるZE☆


徹「それで悠きゅん、数学教師のことで悩んでいるそうだね」

愛「え、その呼び方クッソウザいしキモいからほんとにやめてくんないかな。いやほんとに、切実に」

徹「うわ悠さんガチトーンじゃん申し訳ございませんでした」


そしてとーるは滑らかにぬるぬるとした動作で土下座をかます。

動きもキモいってマジでこいつなんなんだよ。


数「あれぇ? りじちょぉ先生ぢゃないですかぁ! どぉなさったんですかぁ??」


うわっ、おえええぇぇぇぇぇ……

さっきまで金切り声出してたくせに何その反吐が出るような甘い声は。

おい見ろよ私の隣の席の人も吐きそうな顔してるぞ。

私は椅子を後ろに少し傾け、両手をズボンのポケットの中に突っ込みながらずっと噛んでいた10円ガムを膨らます。

やっべぇ私めっちゃかっこよくね???
自意識過剰ですねごめんなさい。


徹「いやあ、少し数学の授業の見学をしようかと思いましてね」

数「そぉなんですかぁ〜! どぉぞごゆっくりしてくださいねぇ〜」


おいこのケババァ気づかんのか?
とーるも吐きそうな顔だぞ?


数「あ、そぉそぉ、すこしそぉだんしたい問題な生徒がいるんですけどねぇ〜?」


お、わいか? わいなんか??


数「問題も解けないのにぃ〜、授業をマジメに受けてくれなくてぇ〜……」


うっわババァの泣き真似、キモいなんてレベルじゃないんですけどぉー。

あとこいつ私が転校してきた時のこと覚えてんのか? 昨日だけど。
明らかに私その“りじちょぉ先生”を脅してたよね?
私のことを“りじちょぉ先生”に報告したところで意味無いとは思わないのかねぇ?


徹「そうですかそうですか。それは大変ですね。こんな人を持つことになって」

数「そぉなんですぅ〜。大変なんですぅ〜!」

徹「ならばあなたがそのような大変な人を世話しなくてもいい環境を差し上げましょう」

数「えぇっ?! ほんとぉですかぁ??」


とーるがニッコリと笑う。
教室中の誰もが見惚れるその笑顔の真相を、私はよく知っていた。


うわ、とーるめっちゃ怒ってる上に悪い顔してるー。


徹「本当ですよ。おめでとう、あなたはクビです。これからは誰にも縛られない自由な世界で親のスネを齧りながら素晴らしいニート生活を過ごすといいでしょう」


ピシリ、と数学教師の顔が固まる。
同じように教室中の空気も凍った。


数「なっ! そ、そんな! 考え直してください!」

徹「いえ、これは確定事項です。どうぞここを去り、二度と我が学園の敷地を跨がないでください。では、さようなら」


ガララ、ととーるが教室の扉を開き、外へと元数学教師を導く。


数「ちょ、ちょっと待ってください! 理事長先生はなぜあの生徒の肩を持つのです?!」

徹「あなたは嘘を吐きましたね? 彼はこの大学でも難問の部類に入る問題を解いて、正解してみせました。あなたはその正を、捻じ曲げた。あろう事か、彼の教師である、あなたが」


ひゅぅ〜、とーるやるじゃーんwww


数「くっ! こうなれば、理事長先生の家をとり潰すまでです!」


こいつついに権力まで持ち出して来やがったwww


徹「……」


うわ、とーるめっちゃ呆れてんじゃんウケるwww


数「ワタクシ、実は全国ナンバーワンの会社の令嬢なんですのよ。理事長先生は確か会社は持っていませんでしたよね。ふふふ、あなたの家を潰すくらい、ワタクシには簡単な事ですわ」

愛「えー。たかが令嬢ごときでイキってたのかよこのケババァwww イキるなら最低限社長になってからにしろよ、スネかじり。親の権力を自分の権力だと勘違いするな? 自分の力では何も出来ない半端者が、一人前気取ってんじゃねぇよwww」


世界ナンバーワンの会社の社長の言葉は重いぞい?


徹「ああ、それと。まぁ、この手は使いたくなかったんだが、俺には親しい友人がいてな。それが世界レベルの財閥のトップなんだよ。令嬢令息じゃあない。れっきとした自らの力で奪い取った座だ。もしも俺に何かあろうことなら、そいつは全力で俺のバックに付くだろう。そして、その時は……」






徹「お前の居場所はこの世界にはないと思え」



わぁお! やってくれるじゃん、とーるさんよぉ。
まあ確かにとーる含め身近な人が危機に陥れられたなら、財閥も組も全勢力動かして相手を潰しにかかるだろうけどね。


数「な、ななななっ!!!」


そしてその後、元数学教師は悔しそうな顔でなななな言いながら学園を去っていった。


さらば、ケババァ。












徹「あれは酷いケババァだったなぁ……。新しい数学教師雇いますかぁ…………はあ、面倒くさ(ボソッ)」




とーるさん、用は済んだのでさっさとご退場ください。

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