舞蝶~絶望を知った女総長~ ※コメディあるZE☆
─────────
愛「ふぅぅうう……満足、満足!」
私は腹を叩きながらそう言った。
お腹からは『ぽんっ!』という気持ちのいい音が聞こえてくる。
愛「それで……君達はいつまで俺のそばで下っ端みたいに立ち続けてる訳?」
横に目を向けると、ベルリンの壁(仮)のイケメンたちが目に入る。
まあでもフードのせいであんまよく見えないんだけどねっ☆ てへっ☆
裕「だから、聞きたいことがあると言っているだろう」
愛「いやそう言われても、もう昼休み終わるし」
食堂の壁にかかっている時計を見ながら言う。
べ、別に面倒臭いからって訳じゃ、ないんだからねっ!
裕「そんなの、五時限目をサボればいいだろ」
愛「サボり、ダメ、ゼッタイ」
そう言えば、何故かベルリンの壁達(仮)は驚いたような顔をする。
愛「え、なに。俺の歯にうどんでもついてる?」
裕「どういう状況だよ歯にうどんついてるって?!」
おお、素晴らしいツッコミ。
これが噂の『ジャパン・ツッコミ』ネ。
航「いや、ただビビったんだよ。お前ってそんなキャラだったっけか……?」
愛「生まれつきの性分ですがなにか」
楓「えぇ……ちょっとついていけないわ……」
愛「あ、あれ……? なんだかこの対応の酷さ、どこかで見たような……。お、おかしいな……目から透明なオレンジジュースが……」
哲「目からオレンジジュースってどないな体しとんねんっ?! しかも透明なオレンジジュースってなに?!」
おお……ベルリンの壁達(仮)ってツッコミ上手いのな……
愛乃さん感激。
────キーンコーンカーンコーン…
と、そこでタイミングばっちりにチャイムが鳴った。
ありがとうチャイム。さすがチャイム。マジリスペクトチャイム先輩。
愛「あーもう授業が始まっちゃうー。急がないと遅刻遅刻ゥー」
航「なんだこの絵に描いたような棒読みっ!! 腹立つななんか!」
愛「じゃ」
その隙に私は起立して食堂の出口へと走る。
てかギャラリー多いな助けろよおi((ぱしぃ…
ファッ?
愛「え、いたたたたたたたたたたたた力強いなおいっ!!」
私は不意に腕に強烈な痛みを感じ、必死の形相で私の腕を掴む手の持ち主を見た。
つい反撃しそうになったが、そこは理性で抑えた。
祐「まだ話は終わってねぇんだよ……」
え……こわぁ。
顔がモザイクかかりそうな勢いで怖いんですが。
あ、でも生憎(あいにく)母親の方が怖いんだよね。
いや“怖い”って漢字じゃなくてもう“恐い”の域なんだよなぁこれが。
てことでさらばっ!
私はしゅるりと腕を振り切って逃げた。
さよならベルリンの壁!
少し遅れて教室に入ると、皆からの注目が凄かった。
……なぜ?
まあいいかと自分の席に座ろうとしたところで、20代後半か30代前半辺りの男性教師が話しかけてきた。
のほほんとした穏やかな教師だということが表情から分かる。
?「確か転校生でしたよね? 名簿に追加したいのでお名前伺ってもよろしいですか?」
丁寧でまともな先生だ……
思わず涙が出そうになった。
理事長、担任、ケババァと相次いで頭のおかしいやつばっかだったから泣ける。
愛「城ヶ崎悠。これからよろしく」
?「私は杉松と言います。現国を担当しております。これからよろしくお願いします」
杉松先生ですね生涯忘れませんリスペクトしてます。
わくわくしながら席につこうとしたその時。
ガラガラガラ…
扉から入ってきたのはイケメン五人組!!こちらを見る五人組!!追われている私!!ここにいたら確実に連行される!!逃げるしかない!!!
愛「すみません杉松先生。追われているんです。杉松先生の次の授業は絶ッ対に受けますからぁぁああ」
杉「私の授業だけでなく他の先生の授業も受けましょうね」
愛「はいぃ善処しまぁぁす!」
そうやり取りしてダッシュでイケメン共が入ってきたドアとは違う方のドアから出る。
愛「っし! 脱出成功!」
さて、バッグも教室に置いてきちゃったし、どっかで暇潰すか。
どこにしようかな。
ここはテンプレの屋上?
いや、なんかやめた方がいい気がする。
空き教室……は、探すのめんどいし。
って! あるじゃん最適な場所が!!