嘘ごと、愛して。
遠ざかる後ろ姿。
呼んだら、振り返って笑ってくれる。
ーーまさよし。
今日はありがとう。
今までもずっと、ありがとう。
もう逢えない。
街で正義を見掛けることがあっても、声すらかけちゃいけないんだ。
もし私が受験に受かっていたら、一緒に高校生活を送れたよね。
どうしてあの時、もっと頑張れなかったのだろう。
もっと沢山、勉強できなかったのだろう。
血の滲むような努力をして、歯を食いしばって、前を見れなかったのだろう。
「まさよし」
ギュッとぬいぐるみを抱き締める。
犬のぬいぐるみは寂しそうな瞳で、私を見ていた。