嘘ごと、愛して。
翌朝、目覚まし時計をかけていないにも関わらず、同じ時間に起きてしまった。
壁に掛かった制服を視界に入れないようにする。
新しい、就職先を決めないとな。
取り柄もない、やりたいこともない。
どんな職場だっていい。
私の人生、そんなもの。
だから真凛、私のことなんて気にしなくて良いんだよ。
いつもより時間をかけて朝食を食べる。
朝のニュースを落ち着いて見れるなんて、久しぶりだ。
「早くしないと遅刻するわよ。今日もよろしくね」
そう言いながらも母が珈琲のおかわりを注いでくれる。
「志真、無理してる?」
「私が学校に行ってもなんの解決にもならないよ…無意味なんじゃないかって、思う」
「そうね。でも真凛には時間が必要なのよ」
「時間が解決してくれる問題なの?」
友情や傷付けた人々との関係は、時間が解決してくれるの?
謝罪もせずに経過した時間に、意味がある?
「ごめんね、志真に負担をかけて」
「ううん」
母に頭を撫でられる。
今はもう、よく分からなくなったんだ。
どうしたら良いのかがーー