嘘ごと、愛して。

翌朝、目覚まし時計をかけていないにも関わらず、同じ時間に起きてしまった。

壁に掛かった制服を視界に入れないようにする。


新しい、就職先を決めないとな。

取り柄もない、やりたいこともない。
どんな職場だっていい。
私の人生、そんなもの。

だから真凛、私のことなんて気にしなくて良いんだよ。


いつもより時間をかけて朝食を食べる。
朝のニュースを落ち着いて見れるなんて、久しぶりだ。


「早くしないと遅刻するわよ。今日もよろしくね」

そう言いながらも母が珈琲のおかわりを注いでくれる。


「志真、無理してる?」

「私が学校に行ってもなんの解決にもならないよ…無意味なんじゃないかって、思う」

「そうね。でも真凛には時間が必要なのよ」

「時間が解決してくれる問題なの?」


友情や傷付けた人々との関係は、時間が解決してくれるの?
謝罪もせずに経過した時間に、意味がある?

「ごめんね、志真に負担をかけて」

「ううん」

母に頭を撫でられる。

今はもう、よく分からなくなったんだ。

どうしたら良いのかがーー

< 112 / 185 >

この作品をシェア

pagetop