嘘ごと、愛して。
「鈴木正義くん、君はこれ以上、真凛に関わらないで欲しい」
「生徒会長ごときが俺に指図できるとでも?」
でも、と正義は付け足す。
「まぁ、関わる理由もないし、今後は関わらないことにするよ」
裕貴の肩を叩き、正義は笑う。
「本当だな?」
裕貴より少し身長の高い正義は彼を見下ろした。
「アンタに指図されるのは癪だが、まぁ、俺にはどうでもいいことだな」
正義の答えに落胆する。
身代わりになって、唯一、嬉しい出来事だった。
正義との出逢いだけが、救いだった。
それでも、別れの時は来るんだ。
覚悟していたじゃないか。
離れていく正義の背中を見送る。
「大丈夫?」
「ランチ奢ってね」
自分の気持ちを隠すことには慣れている。
今までと同じ日常に、戻るだけだ。
心配そうな裕貴に笑いかける。
私は大丈夫。