嘘ごと、愛して。
〜side 晴人〜
生徒会室から真っ直ぐ、体育館裏に向かう。
放課後、志真ちゃんが百瀬楓さんに謝ると言っていた。
真凛が謝れないのであれば、せめて自分が妹に代わって心から謝りたいと。
それならば一緒に謝ることを提案した。
こんな言い方はしたくないが、一番の被害者である晴人が傍にいることで、自体が丸く収まればいい。
「晴人さん、ごめんなさい」
しばらしくてやってきた志真ちゃんに頭を下げられる。
「君のせいじゃないでしょ」
「はい……あの、お兄さんどうでした?」
「…学校のあらゆる写真を見せたけど、違うみたい。校外の人かな」
安藤裕貴のことは、隠すことに決めた。
本人が責任を感じていることを口外する気にはなれなかった。
「そうでしたか…」
ひどく残念そうな彼女を見て、心が傷む。
ああ、早くーー
この子を元の生活に戻してあげなければ。
誰かの身代わりで、己の人生の時間を削るなど、
あってはならないことだ。
早く、姉妹の時計の歯車を直さなければ。
焦る気持ちを抑えて、志真ちゃんに笑いかけた。
それに応えるように彼女も微笑む。
大丈夫。
君には、私と正義が傍にいるんだから。
そんな想いが伝わればいい。