嘘ごと、愛して。
そして6月ーー私はニートになった。
一年前の4月、やっともらった内定先の事務職はパワハラ上司と揉めて辞めざるをえなかった。
もう学校に通いたくないと打ち明けた娘に対して両親は首を縦に振った。少し反対されるかと思いきやあっさりしていた。
「ごめんね、これからは自分のことだけを考えて生きて」と、母は言ってくれた。
裕貴は一流企業の役員を務める父親に頼んで就職先を紹介すると提案してくれたが、断った。みんなの力ばかり借りていてはいけないんだ。
晴人さんとは何度かメールのやり取りをしていたが、
ーー正義からは、何もない。
メールのひとつくらい、寄越しなさいよ。
今日は3社に面接に行く。
真凛に頑張れと言うのであれば、自分も頑張らなければいけない。そう決意したんだ。