嘘ごと、愛して。
塾とは正反対の道を歩く。
真凛と別れた途端、涙が止まらなくなった。
もし真凛の立場なら、私はどうしていただろう。
大好きな人と両思いだったのに別れを告げることを選択する強さ。
親しかった友人に裏切り者として罵られる惨めさ。
どれも耐え難いものだ。
それをあの子はずっとずっとひとりで、耐えてきた。
真凛の苦しみを考えると、
涙が止まらない。
車の通りが激しい交差点に出る。
行き交う人々はみんな笑っているのに、
私の目には真っ黒な世界に映る。
そこに色なんてない。
止める術のない涙で歪んだ真っ暗な世界。
真凛はずっとこの中に居たんだ。
「赤だぞ!」
突然、背後から怒鳴り声が聞こえる。
信号、赤なんだ。
呑気にそう思った。