嘘ごと、愛して。

「危ないだろ!!」

怒鳴り声が耳元で響いたと同時に、強い力で後ろに引き戻された。

驚き、振り返る。


「赤信号で渡るやつがあるが!バカが!」


なんで。
なんで正義の周りは、キラキラと輝いているのだろう。どうしてこの人だけは暖かい色を纏っているのだろう。

「正義…」

「うわ、顔がぐしゃぐしゃだぞ」

「学校では無視したくせに、なんでこんな時に話しかけてくるの?」


どうして傍に居て欲しい時に、アンタは現れるの?


「……死にかけている奴を放っておけるかよ」

「まだ車にひかれるとは決まってない」

「ひかれてからじゃ遅いだろ」

「女の子と放課後デートじゃないの」

「なんで今、そんな話…」

「私のことはもう良いから、行って」


サヨナラだよ、正義。

真凛のことはきっとすぐに解決して、
私はもう二度と学校に行くことはない。

村山志真は、アナタの前から消えるよ。


ホントにホントに、サヨナラなんだよ。


< 135 / 185 >

この作品をシェア

pagetop