嘘ごと、愛して。
「危ないだろ!!」
怒鳴り声が耳元で響いたと同時に、強い力で後ろに引き戻された。
驚き、振り返る。
「赤信号で渡るやつがあるが!バカが!」
なんで。
なんで正義の周りは、キラキラと輝いているのだろう。どうしてこの人だけは暖かい色を纏っているのだろう。
「正義…」
「うわ、顔がぐしゃぐしゃだぞ」
「学校では無視したくせに、なんでこんな時に話しかけてくるの?」
どうして傍に居て欲しい時に、アンタは現れるの?
「……死にかけている奴を放っておけるかよ」
「まだ車にひかれるとは決まってない」
「ひかれてからじゃ遅いだろ」
「女の子と放課後デートじゃないの」
「なんで今、そんな話…」
「私のことはもう良いから、行って」
サヨナラだよ、正義。
真凛のことはきっとすぐに解決して、
私はもう二度と学校に行くことはない。
村山志真は、アナタの前から消えるよ。
ホントにホントに、サヨナラなんだよ。