嘘ごと、愛して。

正義のポケットから覗く、ゲームセンターでとったお揃いのクマのストラップ。

『コレ持ってるカップルは、別れないらしいよ』

一生懸命、正義がとってくれたものだ。
気まぐれで持ち歩いていたとしても、嬉しかった。

ストラップに別れないジンクスがあるかなんて知らないけれど、そのストラップは私と正義が同じ時間を共有した証で、とても大切なものだから。




「何も聞かずに、傍に居て欲しいです」

我ながら身勝手な答えだと思う。
けれど本音だ。


「気分転換に何したい?」


ああ、受け入れてくれるんだ。


「どうしよう……」

「とりあえず腹減ったから、ハンバーガーを食おう」

「玉子入ったやつがいい」

「奢ってやるよ」

正義が笑うと、私も自然に笑える。
不安なことが目の前に迫っていると分かっているのに、それでも笑顔になれる。

恋の魔法にかかった女の子は、みんなそうなのかな。

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