嘘ごと、愛して。
大きな口を開けてハンバーガーを頬張り、最近のテレビの話で大笑いした。
「急に冷たくなったから、嫌われたかと思ったんだけど!」
笑い話のついでに文句を言ってやる。
決して暗くならないよう、強気で抗議する。
「俺、気まぐれな男でごめん!」
テーブルに額をつけて正義は威勢良く謝ってくれた。
「ホント、最低!私、アップルパイも追加する!」
「待ってろ、すぐ買ってくる!」
今度は慌てて席を立ち、レジに向かってくれる。
しんみりとした別れは嫌だ。
私たちはこれでいいんだ。
「ほら、アップルパイ。コーラも付けてやったぞ!」
「ありがと!」
温かいアップルパイを頬張る。
考えなければいけないことを沢山あるけれど、今だけは笑っていたい。
「一口くれ」
身を乗り出して口を開ける正義に、アップルパイを差し出す。
「食べさせて」
「…はいはい」
正義の口にアップルパイを近付ければ、彼はパクリと食べた。
正義の歯型がついたアップルパイ。
ーーいつかと同じだ。
「大丈夫だよ」
「え?」
正義は静かに励ましてくれた。