嘘ごと、愛して。

「2人一緒に諦めるかーー真凛には、なんて言うつもりだ?」

「なんとでも。真凛のことが嫌いになったと言えば良いかな?」


自らの手中に真凛を欲しがる裕貴と、
真凛の幸せのために身を引く決意をした晴人さん。


どちらも身勝手だ。
真凛の気持ちを聞きもせず、勝手に話を進めるバカ野郎だ。


「…すぐに答えは出せない。僕の真凛への想いはそんなに安いものじゃない」

「どれくらい待てばいい?答えが出るまで真凛には近付かないと約束して。私も一切近付かないから」

「晴人さん!!」

お願いだから、そんな、約束しないで。
未来のない約束なんて、悲しいだけだ。


「晴人くんは心から真凛の幸せを祈ってるんだな。虚しくはないの?」

「真凛が怯えて暮らす今より、悪いことなんて無いよ」

きっぱり言い切った晴人さんは私を見て、小さく"ごめんね"と呟いた。

今日は謝られてばかりだね。

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