嘘ごと、愛して。
ぼんやりと教室を見渡す。
この閉鎖的な世界は、確かに嫌な奴もいるが、あからさまなイジメなどはない。
女子生徒は年中、誰かの悪口を言っているが、そんな小さなことに妹が取り合うとは思えない。
あの子は賢い子だ。
外の雑音など跳ね除けるだけの、強い心がある。
その心をへし折った奴はーーいったい誰?
見つけたら、絶対に、許さない。
コロシてーー
「眉間のシワ、凄いよ?」
「っ、」
「なんかあった?」
「ちょっと考え事してだけ」
「大丈夫?」
優しい手つきで、頭をポンポンされる。
慰めるような、いたわるような。
もし妹と同じクラスに正義が居てくれたら、事態は変わっていたのかな。
「…大丈夫だよ」
「景気付けに、放課後、美味いもの食べに行こうぜ」
「勉強するんじゃなかったの?」
「え?一緒に勉強してくれるってこと?」
「今日は特別」
なんか、元気でたから。
今は貴方がいてくれて、
不思議と、心が落ち着いたから。
例え、少しの間だけの
関係だとしても、
貴方に返せるものがあればいい。