嘘ごと、愛して。
何度も話し合った。けれどいつも俺の主張を取り入れてくれる晴人は折れなかった。
後2週間もない。
何か良い策はないかと、ガラにもなく恋愛小説を読んだりして悪あがきをしていた。
その日も、姉の部屋からこっそり持ち出した洋画のラブストーリーを見ていた。
痴話喧嘩をする恋人を画面越しにぼんやり眺めていると、携帯の着信音が響いた。
「もしもし、真凛?」
深夜零時を回っているが、何かあったのだろうか。テレビを消して耳を傾ける。
『……正義、お願いがあるの』
お願い?
晴人のことだったら、全力で協力しよう。
『私、もう学校には行かない。行きたくないの…』
少し声がかれているような気がする。
「何があった」
『もう二度と学校に行かないと両親に話したの!そしたら、代わりに姉を行かせると言うの!私の気が変わるまで、姉がーー』
「なにがあった?」
『正義、お願い。志真を助けて』
「真凛、くわしーー」
興奮気味の真凛に説明を求めたが、
虚しくも電話が切れた。