嘘ごと、愛して。
「本当にお前は真凛から何も聞いてなかったんだな。全てを知ってるのは晴人だけだと思った?」
「そうだよ…真凛は話してくれなかったし、私、真凛の好きな人は正義になったと思い込んでた」
真凛の好きな人だから、諦めようと何度も思った。それでも好きな気持ちは止められなくて。
結局、私たちがうまくいけば良いと言っていた晴人さんの思惑通りになった。
ーー留学を止めた本当の理由、君が知る時がくれば良いと思う。
ーーその理由は、とても優しいものだから。
喫茶店で言ってくれた、晴人さんのその言葉の意味も、今ならよく分かる。
私の嘘に騙されたフリをして、
鈴木正義とは本当に優しい人なんだ。