嘘ごと、愛して。
ホームルーム始めるぞ。
タイミングよく担任が現れて、ほっとする。
正義から目を逸らして前を向く。
"なんかあった?"
メールの返信が届き、担任にバレないように教科書で手元を隠しながら打つ。
"ううん、問題なし。ちょっと補習的な"
"待ってようか"
"大丈夫。ありがとう"
最後にニッコリと笑う顔文字をつけて、送信する。正義のことを隠したのは、親しい友人ができるのことで、裕貴に心配をかけたくないからだ。
妹に入れ代わった秘密を知っている裕貴は、必要以上に誰かと関わることを良しとしないだろう。
真凛のことで心を傷めている裕貴は、私たち姉妹の力になってくれると頼もしい言葉をくれる。
学校生活で困ったことがあれば、なんでも相談してと言われている。
私には助けてくれる人がいるんだ。
そして、形は違えど、
鈴木正義も、こんな私を救ってくれる。
彼のおかげで、学校に通うことが、少し、楽しいと思った。
本当は、そんなこと、思ってはいけないだろうけど。
裕貴には絶対に隠さなければ…。