嘘ごと、愛して。
「初めまして。私は峰岸 晴人(みねぎし はると)。君の妹さんの元カレで、正義の友人。妹さんに私の代わりに姉を助けてと欲しいと言われています」
すぐに反応できなかった。
元カレ??ーー助けて欲しい?
「けれどその理由は聞いていない。場所を変えて話さない?」
「…本当に元カレさんなんですか?」
容易くパスワードを解除できたことも、"志真"であることを知っていることも、
妹がかつての恋人であるなら説明はつく。
妹は、峰岸 晴人を信用しているんだ。
だから私のためを思って、秘密を打ち明けたのだろう。優しい子だから。
「ちょっと信じられないです」
自分が大変な時に、姉を気遣ってくれたのだ。
余裕のない中、なんて優しい子だろう。
「…泣いてる?」
「いえ……」
妹の心が病むまで気付かなかった、愚かな姉を気に掛けてくれるんだ。
「私も力になるから」
私の背中に手を当てて、慰めてくれた。