嘘ごと、愛して。


「つまり、男は全員、真凛を選ぶだろうから、君は好きにならないようにしてたってこと?」


「…気持ちにセーブしてたんだと思います。異性と思わないようにしてたとか」


真凛に熱い視線を送るばかりで誰も私に興味ないことは明らかだった。そんは男性のことを好きになるはずがない。


「それは、恋じゃないよ」


え?

晴人さんはきっぱりと否定した。


「恋愛っていうのは、好きでどうしようもなくて、止められないものなんだ。君のようにセーブできるなら、それは、恋じゃないよ。まぁ私の勝手な意見だけど」


「そういうものでしょうか」


「君が本気で妹に譲りたくないと思う相手に、これから先、絶対に出逢うよ…というか、もう出逢ってるのかも」


"正義"に。
ーーそう付け加えられた言葉。


現に妹のことを聞かずに自身の話をしている時点で、いつもの私とは違う。

本音を言ってしまえば妹のことと同じくらい、正義のことも知りたいのだ。


「君にとって、正義が"初恋"であるのなら、私は嬉しいよ」


優しく微笑む晴人さんの言葉に、首を傾げる。



「だって真凛から沢山聞いた君の話は、どれも素敵だったから。私の親友と、君が幸せになってくれるならと思うよ」


真凛は私のことを5割増しくらいで話していると思われるが、晴人さんの言葉に温かい気持ちになった。


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