嘘ごと、愛して。
「…そういうこと言わないで」
ここに、今、貴方の目の前にいるのは
真凛じゃないんだよ。
「お前、変わったな」
「…どんな風に」
騒ぐ胸を落ち着かせて、平然を装う。
「俺の誘いを断るようになった」
口を尖らせた彼は潤んだ目でこちらを見る。
「…なんかあったら、どんな小さいことでも俺に言えよ」
「もちろん」
今此処に真凛が立てていたら、状況は変わっていたんじゃないかな。
相談することで何かが変わっていたと思う。
けれど私は、真凛ではないから、
今日も貴方に嘘をつく。
「何かあったら真っ先に言うね」
平気で嘘をつくようになった。
どうか、バレないで欲しい。
彼だけには一生、志真の存在を知られたくない。
絶対に、
正義だけには
真凛と私を比べて欲しくない。