嘘ごと、愛して。

休日だというのに特に予定もない。

正義や晴人さんと関わるようになって、他人との会話が増えたが、ふとした瞬間に思い出す。


私は、いつもひとりだった。


村山真凛の代役を終えた時、
また元のようにひとりになるのだと容易に想像がついて、落ち込む。


やはり真凛の周りの人々は温かい。
それがあの子の人柄によるものだと分かってはいるのだけど…。


感傷的になっていると、携帯が震えた。


表示される名前に、胸がざわつく。



「はい」

静かな店内で小さく返事をすると、
電話の向こうはガヤガヤと賑やかな音がしていた。


「デートしない?」


周囲の騒音に負けない、大きな声が届く。


「今どこ?迎えに行くよ」


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