嘘ごと、愛して。
真凛に晴人さんという恋人が居たことも最近知って衝撃だったが、今度は裕貴の名前が挙がるとは予想外だった。
聞くしかない。
裕貴に真相を確かめよう。
「本当にごめんなさい」
2人の視線から逃れるように首を垂れる。
謝って済む問題ではないが、謝る以外に今は何も言えない。
「正義先輩、良かったですね。こんな尻軽女に騙されずに済んで」
「そうだね〜」
適当な返事。
本当に正義が真凛のことを愛しているのであれば、激怒し、問い詰めるはずだ。
だが事態にたまたま遭遇した彼は飄々としていた。
怒ってもらえない寂しさを味わう。
「まぁさ、こんな写真を撮ってわざわざ広める奴の神経もどうかしてると思うけどな」
正義の言葉に顔を上げる。
「どっかのモテない野郎の仕業だろうな。あー、くだらねぇ」
「ちょっと、先輩どこへ?」
「どこへって教室だけど?」
「…あんまり驚かないんですね」
不満そうに百瀬さんが彼を呼び止める。
彼女が望んだ反応ではなかったらしい。
すごく、あっさりしていた。
足を止めた正義は小さく笑う。
そして淡々と主張したのだ。
「例えどんな奴と付き合おうと、抱き合おうと、こいつは俺のモノだから」