嘘ごと、愛して。
お昼休み、いつもの体育館裏ではなく生徒会室に向かう。
裕貴に話があるとメールを入れれば生徒会室で待ち合わせと指定された。
写真を撮られたことを真凛は裕貴に相談したのだろうか。
お互いに好意を寄せていたことになる。
3人で一緒の時間は非常に多かったが、全然気付かなかった。
ーー例えどんな奴と付き合うと、抱き合おうと、こいつは俺のモノだから。
そう言って背を向けた正義をもう誰も呼び止めなかった。
私に向けての言葉でないことは百も承知だ。
思い知った。
正義が真凛に寄せる想いはホンモノだと。
「突然話したいなんて、なんかあった?」
「…写真、見たの」
生徒会室で備品の予算策定をしているらしい裕貴の前に立つ。
ペンを走らせる手を止めて、裕貴は首を傾げる。
「写真?どんな?」
「……裕貴と真凛がキスしてるとこ」
裕貴の手から離れたペンが机に転がる。
「その写真が部活仲間に回って、真凛が嫌がらせを受ける原因になったみたい」