彼を好きになるまであと、8秒.
――お昼休み。
チャイムが鳴ったのと同時に、教科書などを片付け、席から立ち上がる。
「お昼、食べないの?」
後ろを振り向きながら、不思議そうな顔で聞いてきた香織。
「ちょっと、約束があって....」
「約束?」
コクリと小さく香織を見ずに頷く。
香織が不思議に思っても仕方ない。
私には、香織と優くん以外の友達がいない。
優くんと噂になってから、私に誰も話しかける人もいないし、自分から香織以外の人に話しかける勇気も私にはなくて。
だから、約束なんてありえない。