彼を好きになるまであと、8秒.
「あかり、本当に大丈夫?」
「うん、本当に大丈夫だよ!」
香織に心配かけないように、立ち上がり、クルリと一回転をして、元気な証拠を見せようとした。
私が椅子から立ち上がった瞬間、目の前が急に歪み出し、体のバランスが崩れる。
このままじゃあ、倒れる....っ。
「あかりっ!」
隣の席から大きな声と一緒にガッチリと私は、誰かに受け止められた。
私は、その暖かさに安心して、そのまま意識を失ったー。
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『あかり、好きだよ』
『私も、好きだよ』
あの頃は、とても楽しくて。
毎日彼に会うだけで、ドキドキと胸が高鳴って。
彼も、私のことが本気で好きなんだって
そう、思っていた。
だけどーーー。
『お前、まじつまんねえ。
お前は、黙って俺にヤられてろ』
そう言った、彼の顔が。
伸びてくる手が。
ーーーとても怖くて、逃げられない恐怖が。
助けて、誰か...っ
怖い、こわい、コワイ..っっ
こうして、私を恐怖の渦に飲み込んでいくーーー。
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