彼を好きになるまであと、8秒.
「....り....あか...っ!」
「....ん、」
誰かの必死な呼びかけが聞こえ、ゆっくりと目を開ける。
そこには
「あかり、大丈夫?」
目尻を下げて、心配そうな表情をしている優くんの顔が視界いっぱいに入る。
「....っ、あ...っ」
怖くなって、ギュッと目を瞑る。
「あかり、身体起こすよ?
ちょっと触るね」
優くんはそう言って、私の両肩をさわる、上半身を起こしてくれた。
さっきは、優くんとはギリギリ目が合わなかった。
けれど、先程の夢を思い出して、カタカタと震え出す私の身体。
「だいじょうぶか?」
そう言って、私の手を握ってくれた。
コクリと小さく頷く。
優くんの手のから自分手に暖かさが感じられ、どこかとても心地いいと思ってしまう。
「何か怖い夢でも見た?」
「う、ん...」
本当に怖い夢だった。
最近は落ち着いていたのに...。
このまま思い出さず、目を向ける気がしたのに。
何だか、忘れるなよって誰かに言われている気がして、仕方なかった...
「大丈夫だから」
優くんはそう言って、私の手を更にぎゅっと強く握った。
優くんが今、どんな表情をしているか私にはわからないけれど、優くんのその言葉に一気に心が軽くなった。