彼を好きになるまであと、8秒.




そういえば...




「ここっ、て...」




「保健室だよ」




そう言って、私が教室で倒れたことと、香織が先に帰ったことを教えてくれた。



「倒れた?」




「うん、どうも熱があったみたい」



今朝からの頭痛は熱の前兆だったのか...
テスト終わりに発熱したのが不幸中の幸いなのかもしれない...

それに、優くんは詳細を言ってくれないけれど、
優くんと香織のことだから、私のことを心配して帰ろうとしない香織を優くんが無理矢理帰らせたのだろう。
言い合いしている二人が目に浮かぶ。
後で、香織に連絡しなきゃ。


なんて思っていると、「ゆ、優、くん!?」と咄嗟に少し大きな声が出てしまった。



だって、優くんの手が私のおでこに当ててきたから。



「熱の確認ね」




その行動にビクリと体が反応し、徐々に体全体に熱が伝わってくる。



「なんか、熱あがった?」




...っっ!



「そ、それは...っ」




優くんのせいだよ...っ!!

と、声を大して言いたいけれど、言えない私。



「だ、大丈夫だから...っ!」




自分の視界の前にある優くんの腕をバシバシと叩き、おでこから外してもらう。



「あかり」



「な、に?」



「今日は家までちゃんと送るから」



そう言った優くんの声のトーンが、とても強く聞こえた。




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