彼を好きになるまであと、8秒.




「よっぽど深山さんのことが好きなのね!
なんないい彼氏中々いないわよ〜」



好き...?
優くんが、私を....?



そんなわけない...!



それに優くんは私の彼氏じゃない...!
誤解を解かなきゃ...っ



私が「違う」と言おうとした瞬間、ピリリと体温計の音が鳴った。



「良かった、36.9℃ね。
少し高いのが心配だけど、今日は家に帰ったら安静にしなさいね」



そう言って、先生はこの後会議があると言い残して、保健室を出て行った。




.




「あかり、大丈夫?」



学校から出て、駅までの道のりを優くんと歩く。




私は、コクリと首を縦に動かす。




保健室の先生のさっきの言葉が頭から離れないー。




『深山さんのことが好きなのね』




その言葉がエンドレスで私の頭の中に響き渡る。




優くんが私を好きだなんて、そんなことないのにー。
ただ、私を見張っているだけなのに。


だけど、どこか期待してしまう自分がいた。
もし、もし...本当に、優くんが少しでも自分に好意を持っていてくれていたらいいなって...。


そう、思ってしまったー。



私、なんでこんなに優くんに期待してしまうの。



今まで優しかったから?
それとも優くんには、男性恐怖症の症状が出ないから?




ううん、違う。
優くんの隣は、いつも暖かかった。



時々、口は悪いけど、私を1番に心配してくれて。
私を1番に守ってくれて。
私をいつも尊重してくれる。



そんな彼をいつの間にか私はーーーー。


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