彼を好きになるまであと、8秒.
「あかり?」
私の声に優くんも足を止め、私の視線を見た。
「ああ、二週間後、夏祭りだな」
そう、私の視線の先には、花火が大きく描かれている夏祭りのポスターが掲示板に貼られていた。
夏祭り、行きたいな。
毎年、大地と香織と一緒に行っていた。
けれど、今年はできれば...
優くんと一緒に行けたらいいな...
なんて思っていると。
「行きたい?」
私の心を読み取ったかのように、私を見ながら言ったであろう優くんの声。
「ぇ...」
私が目を大きく開け、硬直しているのをみて、優くんはハッとしたのか
「べ、別に嫌ならいいけど、さ」とどこか拗ねたような声色で言った。
「い、行く...っ!
優くんと、いき、たい....っ!」
誘って貰えたのが嬉しくて、バッと顔を上げると、優くんと目が合った。
「ちょっ、いきなり、こっち見るな....っ」
私の目を優くんの大きな手が被さり、急に目の前が真っ暗になった。
私、何かしただろうか?
そう思うと、少しずつ出てくる冷や汗。
「ゆ、ゆう、くん?」
恐る恐る名前を呼ぶと、私の不安が伝わったのか、手をバッと勢いよく退け、
「ごめん」と謝った。