彼を好きになるまであと、8秒.



ごめん?
何に、対してだろう?



「急に手を被せてごめんな。
あかりが急にこっち向いてくるから恥ずかしくなって、さ」



自分の頬をポリポリと恥じらいながら指で掻いた。



...ふふっ。



優くんのその仕草を見て、自然と笑みが零れた。


だって、顔が真っ赤で、
本当に恥ずかしかっているようだったからー。



私は、もう一度、優くんの方を見て言った。




「夏祭り、一緒に行ってくれる...?」




「あかりってさ、」



「うん?」



「それ、わざとやってる?」



「え?」



わざと?
なんの事、だろう?



「いや、違うか。
ううん、何でもない。
一緒にいこうか、夏祭り」



「う、うん...!」



「初めてのデートだね」


嬉しそうに笑った優くんの顔に私はまた、キュンと胸が鳴った。



デート...
優くんと、デート...

嬉しい...な。
優くんとデート!



「うんっ!」



私が笑いながら言うと、優くんは私に聴こえない小声で
「早く俺のものにしてえ」と呟いていたなんて私は知る由もなかったーー。



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