彼を好きになるまであと、8秒.
「ほら、帰るよ」
そう言って、歩き出した高杉優の後ろを、ちょこちょことついて歩く私。
廊下を歩くたびに、すれ違う人たちがチラチラと私を見ているのがわかる。
靴箱についた私たちは、靴に履き替え、校門まで歩く。
「何で、そんな後ろ歩くの?」
ピタッと足を止め、こちらをクルリと見ながら言った。
「.......っ、」
視線を足元にやり、黙る。
私が黙っていることにイライラしたのか、だんだんと私の方に歩いてくる足音。