彼を好きになるまであと、8秒.
やっぱり、香織も高杉優もお互いに喧嘩腰に話している。
香織は、お昼時間のとき、高杉優のことを悪い人じゃないって言ってたのに。
なんで、そんな喧嘩腰なんだろう?
ただ、これだけはわかる。
今の状況は、よくないって―――。
だって、みんながこっちを見ているから。
放課後だから、クラス全員がいるわけでは、ない。
それでも、何人かは教室に残っているのは確かで。
みんなが興味津々に、こちらを見ているのが視線でわかる。
「高杉、優......っ」
小さく、彼に聞こえるか聞こえないかの声で名前を呼ぶ。