初恋とチョコレートと花束と。
出会い
クラス替え
私が彼と初めて話したのは、小学3年生の4月。
新しいクラスになった時に席が隣で、お互いに自己紹介をしたのがきっかけ。
「はじめまして。私、山下綾(ヤマシタ リン)!よろしくねっ!」
「あっと・・・、矢川享(ヤガワ トオル)、です。こちらこそよろしく」
元々家が近所みたいで、登下校の時も何回か見かけた事はあったのだけれど、クラスが違ったあの時は話しかける勇気も話題も私には無かった。
だからかな、大好きな親友もいなくて、しかも苦手な人が多いこのクラスになれて嬉しかったと思えたのは。
――矢川くんと初めて話してから、3日。
あまり人と話さなくてどこか冷たいから話しかけづらい、って言ってたから私もそうなんだろうな、と思ってたけれど、話せば話すほど面白い人だってことがわかってきた。
みんな今まで誤解してたんだな・・・。もちろん私もなんだけれど。
授業と授業の間にある5分休み。
その間に引き出しの中の荷物整理をしていた私は、教科書を忘れた事に気がついた。
そしてアンラッキーなことに、その教科書は次の授業で使うもの。
うーん、どうしようかな・・・?
親友・・・のクラスは今日その授業があるかどうかわからないし、もしあっても私のクラスと同じ時間にやるかもしれないし・・・。
――誰から借りても私が忘れてきたって事は変わらないから、同じクラスの人に借りようかな。
問題なのは誰に話しかけるか。
席が離れてる子だと今度はその子が困ることになるし、そもそも自分から話しかけられるほど仲がいい人ってまだいないんだよね。
矢川くんの時はなんでかわからないけれど話しかけることができた・・・・・・って、そうだ!
矢川くんがいるじゃん!
どうやって声をかけようかな、と考えている間にも時計の針はどんどん進んで、チャイムが鳴るまであと3分くらい。
矢川くんは・・・というと、今も私の隣で教科書を読んでる。
始業式の次の日からずっと、暇な時はだいたい読書。
それにしても教科書を読んでるなんて、勉強熱心なんだなぁ・・・。
私は授業中くらいにしか読まないや。
そういえば、昨日は何かメモみたいなものを色々とノートに書いてたっけ。
今度どんなことを書いたのか聞いてみよう・・・かな?
・・・って、こんなことを考えてる場合じゃなかった!!
あーもう時間ほとんど無いじゃん、私のバカ!
「ね、ねぇ、矢川くん。あの、貸して」
思いきって声をかけると、彼はゆっくりと顔をあげて「何を?」と首をかしげる。
「えっと、教科書・・・なんだけれど」
そう伝えたら彼は「・・・もしかしてこれ?」と言うと読んでたものを閉じて私に差し出す。
「ありがとう」とお礼を言ってそれを受け取ると、昨日から勉強し始めた話を読んでおこうとページをパラパラめくり始めた。
そしてその様子を頬杖をつきながらなぜか楽しそうに見つめている矢川くん。
新しいクラスになった時に席が隣で、お互いに自己紹介をしたのがきっかけ。
「はじめまして。私、山下綾(ヤマシタ リン)!よろしくねっ!」
「あっと・・・、矢川享(ヤガワ トオル)、です。こちらこそよろしく」
元々家が近所みたいで、登下校の時も何回か見かけた事はあったのだけれど、クラスが違ったあの時は話しかける勇気も話題も私には無かった。
だからかな、大好きな親友もいなくて、しかも苦手な人が多いこのクラスになれて嬉しかったと思えたのは。
――矢川くんと初めて話してから、3日。
あまり人と話さなくてどこか冷たいから話しかけづらい、って言ってたから私もそうなんだろうな、と思ってたけれど、話せば話すほど面白い人だってことがわかってきた。
みんな今まで誤解してたんだな・・・。もちろん私もなんだけれど。
授業と授業の間にある5分休み。
その間に引き出しの中の荷物整理をしていた私は、教科書を忘れた事に気がついた。
そしてアンラッキーなことに、その教科書は次の授業で使うもの。
うーん、どうしようかな・・・?
親友・・・のクラスは今日その授業があるかどうかわからないし、もしあっても私のクラスと同じ時間にやるかもしれないし・・・。
――誰から借りても私が忘れてきたって事は変わらないから、同じクラスの人に借りようかな。
問題なのは誰に話しかけるか。
席が離れてる子だと今度はその子が困ることになるし、そもそも自分から話しかけられるほど仲がいい人ってまだいないんだよね。
矢川くんの時はなんでかわからないけれど話しかけることができた・・・・・・って、そうだ!
矢川くんがいるじゃん!
どうやって声をかけようかな、と考えている間にも時計の針はどんどん進んで、チャイムが鳴るまであと3分くらい。
矢川くんは・・・というと、今も私の隣で教科書を読んでる。
始業式の次の日からずっと、暇な時はだいたい読書。
それにしても教科書を読んでるなんて、勉強熱心なんだなぁ・・・。
私は授業中くらいにしか読まないや。
そういえば、昨日は何かメモみたいなものを色々とノートに書いてたっけ。
今度どんなことを書いたのか聞いてみよう・・・かな?
・・・って、こんなことを考えてる場合じゃなかった!!
あーもう時間ほとんど無いじゃん、私のバカ!
「ね、ねぇ、矢川くん。あの、貸して」
思いきって声をかけると、彼はゆっくりと顔をあげて「何を?」と首をかしげる。
「えっと、教科書・・・なんだけれど」
そう伝えたら彼は「・・・もしかしてこれ?」と言うと読んでたものを閉じて私に差し出す。
「ありがとう」とお礼を言ってそれを受け取ると、昨日から勉強し始めた話を読んでおこうとページをパラパラめくり始めた。
そしてその様子を頬杖をつきながらなぜか楽しそうに見つめている矢川くん。
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