初恋とチョコレートと花束と。


「ん、ここ、は・・・?」

目を開けたとたん、見覚えのない真っ白な天井が目に入ってきた。
私の上にかけ布団がかかってるってことは、保健室なのかな。

ベッドの上に起き上がろうとすると、いきなりカーテンが開いた。
それから、保健の先生が顔を出す。

「お、やっと目が覚めたみたいだね、山中さん。調子はどう?」
優しくそう言ってさらにカーテンを開いた先生は、なんだかお母さんみたい。

「あの、先生。私、山下だけれど・・・」
そう教えると、先生は何かを思い出したように「あぁ~!あの子の妹だったのか。噂通り随分とイメージが違うからびっくりしたわ」と呟く。


あの子って、多分お姉ちゃんのこと・・・だよね?
私が妹なの、そんなに不思議かな?

どういうことなのかよく分かってない私に、先生が「山下さんが入学した頃、職員室で噂になってたんだよ。『絵里花2号が入学してきた~!』って」と説明してくれた。

え、絵里花2号って・・・。
妹とか弟って、そう呼ばれるのが普通なのかな?

「・・・でもしばらくしたら今度は、『絵里花と全然違う!』って話になってさ。いざ関わってみたら、大人しいし、騒ぎを起こさないし・・・で、山下さんの担任になった先生は毎年凄い嬉しそうだったっけ」
話を続けながら、先生は何かを探してるのか棚の中をあさり始める。

お姉ちゃんは小学生の時にいったいどんなことをやってたんだろう・・・?
もっと話を聞きたいような、聞きたくないような・・・。


「これはあたしの想像だけれど、今いる先生の何人かは絵里花のこと覚えていると思うよ。もしかしたら、小村先生が一番記憶に残ってるかもね」

先生はそう言ってから、「あったあった」と1冊のアルバムを取り出した。

あれ?これって確か・・・
「もしかして、お姉ちゃんが持ってるやつと一緒だったりする?」

その質問に、こくこくと首を振る。

「まぁ、あたしが出したのはその時の卒業アルバムだしね。今から5年くらい前のやつ・・・かな?」
いたずらっぽく笑いながらそう言うと、近くにあったイスに座って「おいで」と手招き。


先生の方へ行こうとした途端、ふと気がついた。
まだ測ってないからわからないけれど、熱とかあったらどうしよう・・・!

「――あ、そうだ。熱は無いみたいだから、疲れとか・・・あとは睡眠不足か。まぁとにかく、そういうのが原因だと思うから、心配しなくても大丈夫だよ」
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