初恋とチョコレートと花束と。
「ひゃあ!」
さっきのはなんとか我慢できたけれど、もう無理怖い・・・!
「ほら、やっぱ怖がってるじゃん」
「ふふ、ごめんね。驚かせちゃって」
・・・・・・え?
その声に振り返ると、後ろにいたのは去年同じクラスだった暖(ハル)ちゃんと真季(マキ)ちゃん。
仲良しだったから去年はよく話してたりしてたんだけど、クラスが離れてから会話するのは今日がはじめて。
それにしても、びっくりしたなぁ・・・。
本当にお化けかと思ったよ。
「ええっと、私に何か用事?」
・・・あ、でも用が無ければわざわざ話しかけたりしないか。
二人は一度振り返ると、小さな声でろう下に出てほしい、と私に伝えた。
そっか、後ろのお兄さんずっとこっち見てるもんね。
先に出た二人に続いて、私も外に出る。
アリスは・・・そのままでいいかな。
「ね、矢川くんと付き合ってるってうわさ、本当?」
図書室のドアを閉めたとたん、暖ちゃんがそう質問してきた。
えーっと、どういうこと?
私が矢川くんと・・・・・・付き合ってる!?
「ほら、二人はよく一緒にいるじゃない?だから付き合ってるのかなって、最近話題になってるんだよ」
続けたのは、目をキラキラさせてる真季ちゃん。
暖ちゃんがこういう話大好き、っていうのは知ってたけれど、真季ちゃんまで・・・。
というか、そんなうわさ話があったことすら今まで知らなかったよ。
「ち、違うよ。私と矢川くんはただの――」
ただの友達だって、言いかけたその時。
「―—あれ、二人とも知らなかった?その話が本当だってこと」
振り返ると、そこにいたのはやっぱりアリス。
本を持ってるってことは、借りたかったやつ見つかったんだ。
後でどんな話なのかちょっとだけ見せてもらおう。
じゃなくて。
「ねぇ、さっきのって――」
「きゃー、やっぱりそうだったんだ!そうじゃないかなーって思ってたんだよね」
アリスに尋ねようとしたら、3人は矢川くんと私の話で盛り上がってて。
確か、コイバナ?ってやつだっけ?
・・・・・・ってこれ、私が矢川くんと付き合ってるって二人に思われてる・・・よね!?
というかその前に付き合ってるって何!?そもそも付き合ったら何をするの!?
とりあえずよくない状況だということを理解したとたん、昼休み終了のチャイムが鳴った。