フェイス
そこまで言い、顔を真っ赤にする彩羽。


「クラスメートの山田君に告白された」


誰もいないのに小声になっている。


「嘘!?」


山田君はクラス内では目立たない存在で、挨拶くらいしかしない。


そんな山田君が彩羽のことを好きだなんて、ちっとも気が付かなかった。


「どうしよう……」


「どうしようって言われても……。彩羽の気持ちはどうなの?」


そう聞くと、彩羽は左右に首を振った。


「わかんないよ。だってほとんど会話もしたことないし!」


「そうだよね……。でも、少しは気になってるんでしょ? さっきから顔真っ赤だよ?」


あたしがそう指摘すると、彩羽は両手で頬を挟んだ。


「そりゃ、誰だって告白されたら相手を意識するでしょ?」


「そっか。山田君は悪い人じゃないと思うよ?」


「それはわかるけどさ……」
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