フェイス
彩羽に声をかけられてハッと我に返った。


さっきからフェイスのことばかり考えていた。


「なんでもないよ」


「次、移動教室だよ。早く行こう」


「うん」



教科書を持って立ち上がった時だった。


急激な痒みが頬に走った。


「どうしたの?」


「なんか、痒くて」


そう答えて鞄からクリームを取り出した。

< 121 / 271 >

この作品をシェア

pagetop