フェイス
「なんでもないです。美味しそうですね」


ニッコリとほほ笑んでそう答えた。


「あぁ。ここの新商品らしいよ」


カナタ先輩のところにもあたしと同じオムライスが置かれている。


新商品や限定品に詳しいのは、やっぱり女の子との付き合い方に馴れているからかもしれない。


女の子の好きそうなものを把握しているのだ。


オムライスは確かにおいしかった。


2人してあっという間に食べ終えてファミレスを出る。


カナタ先輩はあたしの手を握り、あたしをリードするように歩いてくれる。


嬉しいはずなのに、手慣れた雰囲気に胸が痛くなる。
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