フェイス
「カナタ先輩は美春先輩とは付き合ってないんですか?」


会話が途切れた時、あたしはそう質問していた。


カナタ先輩が驚いたように立ち止まり、あたしを見つめる。


「せ、先輩たちのことは学校でも有名だから」


慌ててそう言い訳をした。


嘘じゃない。


先輩たちの関係を知らない生徒はきっといない。


「そっか。色々噂も流れてるもんな」


そう言い、苦い表情を浮かべるカナタ先輩。


「ごめんなさい。聞かない方がよかったですか?」


「いや、いいよ。ナナちゃんにはちゃんと知っておいて欲しいことだしね」


そう言って、カナタ先輩は小さな公園へと足を進めた。
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