フェイス
カナタ先輩が大きな声でそう言った。


子供たちが何事かとこちらを気にしている。


「先輩、声大きいですよ」


「あぁ……ごめん、つい」


そう言って照れ笑いを浮かべるカナタ先輩。


あたしに誤解されるのが嫌なのだろう。


そのくらいカナタ先輩は必死になっている。


「俺はナナちゃんと出合えて本当に良かったと思ってる」


「そう言ってもらえると嬉しいです」


あたしはそう言ってはにかんで見せた。


「変な事聞いてすみませんでした。これからどこに行きます?」


気を取り直してそう言い、あたしは立ち上がった。

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